子どもの心の原理(必ず当てはまる) 2/27

原理1)心は脳の機能である。

原理2)脳が反応をしない刺激で心としての反応が出来ない
子供には神様は存在しない

原理3)子どもの心と大人の心と異なる
大人が大人の知識で子供の心を考えたときには、子供の心を間違える

原理4)三つの心
心には知識の心、習慣の心、情動の心とがある。(感情は情動の一つの形)
(注釈:ここでの対象年齢(おおざっぱに思春期過ぎぐらいまで)では、知識の心は情報を蓄積している段階、習慣の心はかなり完成しているけれど、習慣を身につけている段階か、習慣を表現する体力が未熟な場合が多い。情動の心は大人と同じように完成している)

原理5)子供の本心
大人の本心は知識の心、子供の本心は情動の心
(注釈:大人は言葉から行動が可能。子供の言葉は子供が持っている知識であり、行動は情動から成される)
(注釈:大人では言葉から心を知ることが出来るが、子供では言葉から子供が持っている知識を知ることが出来ても、子供の本心を知ることは出来ない。子供の本心は子供の行動から知ることが出来る)

原理6)情動刺激
刺激には心を楽しくする刺激(報償刺激)と心を辛くする刺激(嫌悪刺激)とがある。これらの刺激を受けると程度の差はあっても条件刺激を学習する。
(注釈:報償刺激とは子供の命や成長を守り促進させる刺激。嫌悪刺激とは子供の命や成長を阻害、否定する刺激)

原理7)嫌悪刺激
子どもの心が辛いと、子どもの心を辛くする刺激を受けると、その辛くする刺激から逃げる、よい子を演じる、荒れる問題行動をする、心の病の症状を出す。このどれかの症状を出す。この逆も成り立つ。
(注釈:子どもの心を辛くする刺激を嫌悪刺激という。)
(注釈:子供が逃げ出したり、よい子を演じたり、荒れたり、問題行動をしたり、大人の心の病の症状に相当する症状を出した時、常識的には子供に其れをするような悪い何かがあると考えがちだが、子どもの心が辛い状態にあるから、これらの行動や症状を出していると考えなければならない。)
(注釈:一般に心の辛さの強さは、
逃げる<よい子を演じる<荒れる問題行動をする<心の病の症状を出す
但し子供の性格により成り立たない場合がある)

原理8)よい子を演じる
子供は基本的によい子です。心が辛い子供は回避行動をします。この回避行動の中に、心が元気な子供を装うことがある。よい子を演じると、見かけは大人の思いを受け入れている様に見えるが、大人が居なくなるともっと酷い問題行動をする
(注釈:よい子を演じていることと、本当に良い子なこととを見分けることは極めて難しい)

原理9)刺激間の作用
繰り返す嫌悪刺激には相乗効果がある。嫌悪刺激の作用が強まっていく
繰り返す心を楽しくする刺激(報償刺激)には慣れがある。作用が弱まっていく
嫌悪刺激と報償刺激との間には、相殺作用がある

原理10)習慣行動
同じ行動を繰り返すことで習慣行動が出来るようになる。情動の接近系の行動を繰り返すことでも習慣行動は出来るようになる。
(注釈)情動の回避系の行動を繰り返しても、習慣行動は出来ないばかりか、回避行動を強めていくだけでなく、回避系の条件刺激(FCS)を学習してしまい、性格の変化を好ましくない方向に生じるようになる。

原理11)性格
子供は其れまでに身につけた習慣からの行動(習慣行動)か、その時生じていた情動からの行動(情動行動)しかない(性格と言う)
(注釈:子供でも知識からの行動と思われる行動が見られるときがありますが、其れはその行動をすることで報償(大半が直接的、間接的に母親から)を得ようとする情動行動である)

原理12)素直に反応
子供は刺激を受けると、その性格から素直に反応をする。その反応をする方向は、その刺激を受けた人またはその人に関連する物に向かう
(注釈:受けた刺激が報償刺激だとその反応や向かう方向は問題になることはまず無い。)(注釈:受けた刺激が恐怖刺激だと、その回避行動は恐怖を与えた人や恐怖を与えた人に関連する物に向かうことが多い。それが出来ないときには自分自身に向かい、自己否定を生じることがある)

原理13)本能は接近系
子どもの心に回避系が作用をしていないと、自発的な接近系=本能が機能をし出す

原理14)子供の本能にはいろいろあるが、子供の心の成長という意味では
*母親を大好きだ
*新しいことを知ろうとする
*同年代の子供を好む
*与えられた環境に順応しようとする
だけを考えれば良い
(注釈:母親だけはオールマイティーの接近系で、慣れはなく、ほぼ全ての回避系の刺激を相殺できる)
(注釈:母親には母性という子供からの要求に無条件で応える能力がある)
(注釈:母親または代理母だけは、必ず子供の心が辛い状態から子供を守ることが出来る)
(注釈:原因が分からない子供の心の辛さから子供を守られるのは母親だけ)

原理15)恐怖の条件反射
情動は基本的に変化をしないが、条件反射だけが情動を変化させる。特に恐怖の条件刺激FCSを学習したことによる恐怖の条件反射FCRは子供の性格を大きく変化させる
(注釈:最初に学習したFCSから生じるFCRの反応をトラウマと呼ぶ場合がある。

原理16)条件刺激の汎化
このFCRの反応を繰り返すことで、最初に学習をしたFCS以外にも、身の回りにある物に対して新たにFCSを学習してしまう。この新たに学習したFCSは身の回りにある物のことが多いので、子供はそのFCSから逃げることが出来ない。この新たに条件刺激を学習することをFCSの汎化という。

原理17)心が辛い子供と心が元気な子供
FCSから逃れられない子供は絶えず心が辛い状態(不安)状態にある。このような子供を心が辛い子供と言う。其れ以外の子供を心が元気な子供と言う
(注釈:心が辛い子供では、FCRが機能をしていない時間をつくために、FCSを与えないようにする必要があります。多くの場合それが難しいので、子供自身を楽しいことに没頭させる。没頭している時間はFCSが機能をしていないから普通の(心が元気な)子供と同じ心になります。)
(注釈:たまにFCSに晒される子供は必ずしも心が辛い子供ではないが、頻繁にFCSに晒される子供は心が辛い子供と考えられる)
(注釈:FCRは機能をしないでいると、だんだんその機能を失っていく。FCRが機能をするとFCRはその都度機能を強めてしまう)
(注釈:多くの子供は心が元気です。嫌悪刺激が加わって心が一時的に回避系なることはあっても、直ぐに嫌悪刺激が無くなって、心が接近系に戻ります。心が元気な子供に戻ります)

原理18)心の抵抗力
嫌悪刺激を受けて、その嫌悪刺激を回避できたなら、その刺激に対してFCSを学習しない。
(注釈:嫌悪刺激を受けてその嫌悪刺激を回避できたら、その嫌悪刺激の回避法を学習したことになり、以後その嫌悪刺激やそれに似た嫌悪刺激について、FCSを学習しなくなる。)

原理19)母親の情動を子供はコピー
子供は生まれると直ぐにその本能から周囲と関わりを持ち始めます。本能の部分以外の心は白紙だと考えられます。子供は生まれると直ぐに、ほ乳を受けながら、ほ乳をしてくれる、自分を育ててくれる大人の情動を自分の情動として(ミラーシステム)確立していきます。それが子供の自我の基本になります。この自我は基本的に一生続きます。乳幼児を過ぎると確立した自分の情動で周囲と関わりを持つようになります(自我の成立)。

原理20)子供が持つ判断基準
子供の判断基準は過去の経験か、母親の喜びが期待できるかどうかです。反射的に成されます。

原理21)信頼関係
子供と母親との間の信頼関係があると、子供が持つ本能から、それだけで子供の情動に大きな接近系として機能をします。

原理22)刺激への反応の仕方
子供は刺激に対して、即座に、性格から反応をします。
(注釈:性格とは情動の心と習慣の心からの反応の仕方)
(注釈:心が元気な子供では、其れまでの習慣、本能からの欲求、心のエネルギーから行動をします。知識は言葉に出来ますが、知識からの行動は出来ません。心が辛い子供では、心のエネルギーがゼロ付近になったときだけ習慣からの行動が可能になります。心のエネルギーがマイナスの間は動けないか回避行動だけです。

原理23)心のエネルギー
情動の接近系が機能をしている度合いを心のエネルギーと表現します。意欲という言葉が当てはまります。子供と母親との間に信頼関係があると、それだけで心のエネルギーを大きくします。
(注釈:心のエネルギーは傾向であり、物理的なエネルギーと異なります。)

原理24)心が辛い子供は嫌悪刺激に敏感(回避行動をとりやすい)です。
(注釈:嫌悪刺激の相乗効果のためです。)

原理25)自然態
心が元気な子供の性格のままに行動させ続けるとき、子供は自然態で行動をしていると表現します。その時の親の対応を後追いと言います。親のこの対応が子供の能力をどんどん高めていきます。
(注釈:心が辛い子供は、子供を辛くする恐怖刺激から子供を守る必要があります。
心が元気な子供は常識的な子育てが可能です。)
(注釈:心が辛い子供が恐怖刺激から守られている時間には、子どもの心は元気ですが、心のエネルギーがプラスになりますが、未だ常識的な子育てを受け入れられません。子供の心のエネルギーが向かう方向へ向かわせてあげると早く確実に心が元気な子供になれます。心のエネルギーが十分に大きくなると、常識的な子育てを受け入れられるようになります。)

原理26)逆行動の法則
心が辛い子供に嫌悪刺激を与えると、逆行動の法則(回避行動が強まる)が成立する
(注釈:逆行動の法則とは、心が辛い子供の問題行動を正そうとすると、その場で子供はそれに従うが、その後でその問題行動をより強めてしまう。よい子を演じると同じ意味。)
(注釈:躾けには接近系の刺激を用いなくてはならなくて、回避系の刺激を用いてはいけない理由です)

原則27)子供は過去を忘れる
(注釈:特に楽しかった過去や、繰り返していた過去、繰り返し話題になった過去は言葉に出来ますが、辛かった過去は心が元気になったときには忘れています。理由は分かりませんが、本当に不思議です。)

原則28)子供は今が大切
(注釈:子供の心が回避系だと、心の成長は期待できない。心が接近系だと心は大人に向かって成長をする。)

もとに戻る


母親の原則
子供の心の原則から導き出される母親の対応法の原則です。この原則はどの子供にも当てはまります。心が辛い子供には必ず当てはめなければならなりません。心が元気な子供には必ずしも当てはめる必要がありません。
母親の原則1)以外の原則は全て母親と子供との間の信頼関係を高めるための対応法

母親の原則1)子供を辛くする物から、母親が身を挺して子供を守る
(注釈:この項目は心が辛い子供を守るための母親の対応法。心が元気な子供には常識的な対応法が可能)
(注釈:多くの場合、子供を辛くする物が分からないことが多い。その時は母親の常識を捨てて、子供の心が落ち着く場所に子供を守る。落ち着く場所とは家の中や自分の部屋の中)
(注釈:子供を辛くするものが分からないときは、登校刺激の可能性、子供の心が否定されている可能性を考える)

母親の原則2)母親は常識に反してでも、子供の心が落ち着く対応をする

母親の原則3)子供を信じて待つ

母親の原則4)ありのままの子供を認める

母親の原則5)子供の要求を即座に、100%、笑顔で叶える

母親の原則6)子供が荒れてたり問題行動をしたり、心の病の症状を出しているとき、母親の対応は、先周りをしてでも共感とスキンシップをする
(注釈:先周りとは母親が持つ知識から子供への対応をすること)

母親の原則7)子どもを見ない、子供に言わない、母親の笑顔

母親の原則8)母親の笑顔が子供の心のエネルギーになる。
(注釈:母親に笑顔がないと子供が不安になる)

母親の原則9)ハグなどのスキンシップと一緒に、子供に「大好きだよ」又は「お母さんの子供で有り難う」と言う。この母親の対応だけ先周りをして行って良い。

母親の原則10)母親は子供の過去を忘れる

母親の原則11)母親自身が思いつく対応をしない。先周りをした対応をしない

母親の原則12)子供の姿が落ち着いていたら、母親は後追いだけをする
(注釈:後追いとは子供の要求を100%だけ笑顔で答えて、それ以外の時は見ない、言わない、笑顔を実行すること)

母親の原則13)子供が話しかけてきたとき母親は傾聴をする
(注釈:傾聴とは、子供の話を無条件で聞き続け、母親からの意見を言わないこと。但し聞いているよと言う意味で、相づちを打つ必要がある。時にはオーム返しも効果的。子供への傾聴は、子供の話を真剣に理解する、記憶する必要は無い。子供が話したいという希望を叶える対応で良い)


もとに戻る