虹の扉

 亘君が自転車に乗って走っていると、目の前にきれいな虹がかかっていました。その虹を見て、亘君は虹の所に行ってみようと思いました。そこで亘君は、全速力で虹の方へ、自転車を走らしました。虹が消えないようにと、祈りながら力一杯ペダルを踏みましだ。

 思ったよりも簡単に虹がある所に来れました。虹の内側は大きくて透明なドアになっていました。ドアには貼紙がしてありました。

「亘君はドアを開けて入って下さい。」

亘君は不思議に思いました。

「なぜ、僕がここに来ることを知っているんだろう。変だなあ。いったい、このドアの向こうは何になっているんだろう。」

亘君は不思議に思いながらも、思い切ってドアを開けて、中へ入って行きました。

 そこは大きな町になっていました。着飾った人がたくさん行き来していました。それに混じって、たくさんの動物が行き来していました。キリンや猿やライオンもいましたし、虎もいました。それらの動物達は皆楽しそうに仲良く歩いていました。その様子を見て、亘君はまた不思議に思いました。

「ここは動物園じゃあないのに、なんでこんなに人と動物が多いんだ?」

その時、亘君を呼ぶ声がしました。

「亘くーん、ひさしぶり。」

亘君はその声の方を見てびっくりしました。それは以前亘君が作ったプラモデルの宇宙戦士ジョバンでした。

 ジョバンは甲冑をがたがたいわせながら、亘君の所にやってきました。

「あの貼紙を見て、亘君はきっと来てくれると思いました。これから私がおもちゃの国をご案内しましょう。」

「ここはおもちゃの国なの?」

「そうです。ここは人間が使っていらなくなったおもちゃが集まっている国です。」

「それじゃあ、僕の熊のゴンタもいるの?」

「ゴンタの所にも、後で私が案内します。私の背中に乗って下さい。」

そう言うと、ジョバンは亘君を背中に乗せて、空に飛び上がりました。

 ジョバンは亘君を連れて、おもちゃの国を案内しました。その途中で、ぬいぐるみの熊の村に立ち寄りました。そこにはゴンタがいました。ゴンタは亘君が赤ちゃんの時からの友達でした。亘君はゴンタをしっかり抱いて、再会を喜びました。しばし亘君とゴンタは楽しい時を過ごしていました。

 突然ジョバンが言いました。

「もうすぐ、虹の扉がなくなります。亘君、急いで帰りましょう。虹の扉が無くなると、亘君は人間の国に帰れなくなります。」

ジョバンは亘君は背中に乗せると、虹の扉の所に帰りました。ジョバンが言いました。

「亘君、虹が見えたら必ず来て下さいね。」

「うん、今日はありがとう。」

亘君はお礼を言うと、自転車に乗って家に帰りました。 

 

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