別室登校について
 
 別室登校を現象的に見る限り、いろいろな解釈が出来ます。それらは全て観察者の思いであり、子供の思いは脳科学的に考える必要が有ります。
 科学的には、人間には意識する心と、潜在意識に属する情動の心が有ります。登校拒否とはこの情動の心が学校及び学校に関する物に対して拒否反応を起こしている状態です。その拒否反応を起こす度合いは、学校及び学校に関する物により異なります。学校内の別室が子供に拒否反応を強く出させる物なら、子供は別室にすら、拒否して行きません。ところが別室が子供に拒否反応を起こす度合いが小さくて、その他の強い刺激、親の希望や、先生の希望が、拒否反応を押さえて、別室に登校可能な子供もいます。
 「本人の希望を尊重して別室登校を応援する」と言う大人がいます。このとき、子供は自分の意志で別室に行くことを希望したわけではありません。子供の情動の心は学校内の別室を拒否していることには変わり有りません。また、意識の心も、親や先生が子供に何の対応もとらなければ、子供から自分からその別室へ行こうと判断しません。親や先生の希望を意識して、言葉で別室へ行くことを表現しただけです。親や先生の圧力があるから、やむを得ず別室へ登校しているだけであり、決して本人の希望ではないのです。親や先生が本人の希望と言う形で子供に一生懸命になればなるほど、それは子供を別室へ行かせる刺激と圧力になっています。
 学校内の別室に子供の心を癒す人がいる、物が有れば別ですが、ほとんどの場合、子供は別室で情動の心の拒否反応に苦しんでいます。意識の心ではなぜ自分が苦しいのかわかりません。その結果、子供は心の傷をどんどん広げていっています。
 
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