子どもの立場からの登校拒否、不登校、いじめ、引きこもりについてQ and A version 4

{2。 登校拒否、不登校、引きこもり }(6)子どもの病的症状、社会的不適応について

子どもの非行について」  目次へ戻る
 子どもは母親が嫌がることをしたがりません。ところが登校拒否の子どものように、行きたくない学校へ行かされていると、子どもはストレス刺激を回避できません。その結果いろいろな回避行動を取ることになります。その内の一つが非行です。回避行動の要素の一つとして強い刺激が有ります。誉められることも強い刺激ですが、嫌がられることをすることも強い刺激です。非行を行うことで、嫌がられるという強い刺激を求めて無意識に万引き、いじめ、校内暴力などの非行に走ります。
 生まれながらに性格が悪くて非行に走る子どもはいません。子ども達に加わるストレス刺激を回避するために、子ども達が非行に走っています。ストレス刺激から子どもを回避させてあげると、子どもは非行に走らなくなります。ところがストレス刺激から回避できない子どもでは、非行が習慣化して、非行から脱却できなくなります。いわゆる悪人になってしまいます。

子どもが腹痛を訴えて学校へ行けません。」  目次へ戻る
 子どもが腹痛や頭痛などの神経症状を訴えて学校を休みがちになることを学校へ行き渋るといいます。登校拒否の状態です。学校や学校に関する物で心が傷ついた状態です。この時無理矢理に学校へ子どもを連れて行くと、子どもはますます心の傷を深くして、全く学校へ行けなくなります。不登校になります。
 学校へ行き渋っている状態は未だ心の傷が深くありません。学校を休むことだけでも心の傷が癒える可能性が高いです。子どもが学校へ行くと言うまで学校を休ませてあげると、心が傷つかない状態で学校へ行けるようになります。

子どもが昼夜逆転をしています。」  目次へ戻る
 登校拒否、不登校、引きこもりの子どもにとって昼間は登校刺激を含めて多くの嫌な刺激が有ります。子どもはその嫌な刺激を我慢できませんから、自分の部屋に逃げ込で嫌な刺激を避けます。眠ってしまうのが、昼間の嫌な刺激を避けるのに一番好都合です。夜になると、これらの嫌な刺激が無くなります。子どもは心が落ち着いて、体も楽になり、家の中で自分なりの生活ができます。その結果夜中起きていることになります。夜中起きていれば、明け方には眠くなるので、布団の中に潜り込むことになります。
 この様に、昼夜逆転は登校拒否、不登校、引きこもりの子ども達には、自分たちの心をストレス刺激から守る良い方法です。昼夜逆転を是正しようとすると、それは子ども達をストレスから守れないことになり、子ども達は大変に辛くなります。家の中で辛そうにしている子どもには、積極的に昼夜逆転を認めると良いと思います。昼夜逆転を認めても、子どもは必要なときには昼間起きて、やりたいことをやります。躾とか生活習慣とかバイオリズムとかを考える必要はありません。

家庭内暴力で困っています。」  目次へ戻る
 親が登校拒否、不登校、引きこもりの子どもに、嫌な思いをさせると、子どもはいろいろな神経症状を出したり、精神症状を出したりします。子どもによっては親に対して暴力を振るったり、又は、直接親には向かわなくても、親の大切な物を破壊するという家庭内暴力を振るう子どももいます。暴力は嫌なことを避ける回避行動です。回避行動がとれないときには神経症状、精神症状を出します。それは全ての哺乳類に共通に見られる反応です。
 家庭内暴力は嫌なことに対しての回避行動ですから、家庭内暴力を阻止しようとすると、かえって暴力は酷くなります。子どもはしたくて家庭内暴力を振るっているのではありません。無意識に、潜在意識から行っています。子どもにはどうにもできないのです。親が家庭内暴力を阻止しない方が、暴力は最小限で済みます。それだけ被害が少ないです。
 それは刃物を使った家庭内暴力にも当てはまります。子どもは辛さを刃物で示しています。「殺すぞ!」と言っても、殺したい位に辛いと表現しているのであり、決して殺そうとしているのではありません。それを本当に殺すと解釈するのは、子どもを信頼していない証拠です。刃物を持った子どもに「殺してもいいよ」とも、「止めなさい」とも、言う必要は有りません。「殺したいぐらいに辛いのだね」と、子どもの気持ちを受け取ると、子どもは刃物を置いてしまいます。
 子どもが刃物で「殺すぞ」と言ったとき、「殺せるなら殺して見ろ」という反応をすると、それは危険です。子どもは発作的に刺してしまいます。それは子どもの無意識の意図を否定することであり、否定は強いストレスとなるからです。ストレスが相乗効果を示して、強い破壊行動を生じるからです。また、子どもが「殺すぞ」と言ったとき、恐怖から慌てふためくのはやむを得ません。子どもは潜在意識でそれを期待しているので、子どもはそれ以上の事はしません。けれど、子どもの心を知らないと言う点では、問題の解決に役立ちません。

子どもが親に手を上げる時(暴力)とは、子どもはどうなっているのでしょう?」  目次へ戻る
 子どもにとって親は最後の砦です。子どもは本能として、親は絶対的に自分の味方だと考えていますし、そうでなくても味方であって欲しいと思っています。子どもにとって、親の存在は自分の存在と同じぐらいに重要な問題です。それなのに子どもが親に手を上げる時があります。時には刃物を突きつけることがあるのです。子どもが親に手を上げる時は、子どもの存在が危なくなったときです。子どもの存在が危なくなったときには親が子どもを助ければ良いわけです。子どもには親しか助けてくれる人はいないのです。ところが親が子どもの危機を無視するか、かえって危機に追い込むとき、子どもが親に手を上げます。それでも親が子どもを理解しないとき、子どもは親に刃物をつきつけます。
 つまり、子どもは親を傷つけようとして手を上げたり、刃物をもったりしているのではありません。子どもは助けてくれと言っています。子どもに手を上げられた親はその子どもの気持ちが解らない親なのです。親の立場からの意識が強すぎて、親として子どもの心を理解使用としていますが、子どもの本当の気持ちが解らないのです。子どもを助けたいと思うのでしたら、親の立場を捨てて、子どもの目線に自分を合わせるか、そうできない人は、親を捨てて、子どもの下に立つしかありません。

キレる、パニックについて説明して下さい。」  目次へ戻る
 登校拒否の子どもが無理して学校へ行かされているとき、子どもは絶えず嫌な刺激を受け続けています。その結果性格の変化を生じて、嫌な刺激に非常に敏感になっています。その嫌な刺激に非常に敏感になっているところに、嫌な刺激を与えると、子どもは爆発的な、とても強い怒りの反応を示します。暴力や破壊行動をします。その怒りを意識的に押さえることはできません。それをキレると言っています。
 子どもがキレやすいと、子どもの問題点をあげる人達がいます。けれどキレやすい子ども達でも、いつもキレ易いわけではありません。キレやすい子ども達でも、子ども達の心が安定していると、そう簡単にキレルわけではありません。子ども達が辛い状態にあるとキレやすくなるのは、大人も子どもも同じ事です。
 回避行動が爆発的な攻撃的に出る状態がキレるなら、爆発的に神経症状、精神症状を出すのがパニックです。いろいろな症状が爆発的に出て、大変に辛くなる、時には死にそうな思いをする状態がパニック状態です。

校内暴力について説明して下さい。」  目次へ戻る
 校内暴力は家庭内暴力と近い関係にあります。家庭内暴力は親が子どもを責めないと生じません。校内暴力は子どもが学校に行っただけ、学校内で些細な嫌な経験をしただけ、学校を見ただけ、意識しただけで生じます。先生方は学校に問題点を感じていませんから、子どもが悪い、子どもに問題があるとかんがえます。けれど実際は学校で子どもの心が傷ついて、その傷ついた子どもの心が学校により、学校に関する物により、疼いて、その結果、学校内で怒りの行動、暴力や破壊行動をとったのです。子どもの心が学校で傷つけられなければ、傷ついた心で学校へ来なければ、つまり安心して学校を休められたら、子どもは学校内で暴力を行いません。

自傷行為について説明して下さい。」  目次へ戻る
 登校拒否、不登校、引きこもりの子ども達に、登校刺激やその他のストレスを与えると、子ども達は大変に辛くなります。いろいろな神経症状、精神症状を出したり、心がいらいらして、暴力に走ったりします。暴力に走れないときには自分に対する暴力、自分の体を傷つけます。自分の体を傷つけたときの痛みで、自分の辛さを押さえて、自分を取り戻しています。それは自分を苦しめる刺激より、傷の痛みの方が強いので、傷の痛みが自分を苦しめる刺激による反応を押さえてくれるからです。手首や前腕、上腕、胸、腹、下肢などに剃刀やナイフで傷を付けます。たばこの火を手に押しつける子どももいます。
 ここで気を付けなければならないことは、子どもを苦しめる刺激が強くて、傷の痛みを感じなくなっている場合が有ります。その時には、子どもはもっと大きな傷を体に付けて、その結果死に至る場合があります。ためらい傷と自殺との関係です。発作的な自殺はこの仕組みとは異なります。

子どもがとてつもなく大きなお金を使います。」  目次へ戻る
 登校拒否、不登校、引きこもりの子どもが、辛い時間を過ごすために、動き出すために必要な物を得るために、また自分の情動の安定のために、結構大きな金を使ってしまいます。そのお金を制限することは、子どもの辛い時間を長くします。子どもが動き出そうとする意欲をそぐことになります。必要なお金を与えると、子どものエネルギーを高めます。問題の解決が早くなります。
 親は子どもがお金を使いすぎる心配をしています。子どもが大金を使って、家が破産しはしないかと心配します。現実に辛い状態にある子どもは高価なものを欲しがります。大金を平気で使ってしまいます。高価な家具や自動車を壊して、家計のやりくりが大変です。
 子どもは大金を使って親に迷惑を掛けていることを十分に知っています。知ってはいても、辛くてどうにもならなくて、親が困ってしまうほどの大金を使ってしまいます。子どもは自分が辛い状態であるのと同じぐらいに親が苦しむと潜在意識で判断するまで、大金を使う場合か多いです。しかし、子どもは自分以上に親が苦しむことは求めません。ただ、この判断は子どもが無意識にしているのであり、決して親や周囲の人の判断ではありません。親や周囲の人がこれは酷いと判断しても、子どもが自分と同等かそれ以下の苦しみだと判断する限り、子どもは親を苦しめ続けます。それを子どもが悪いと判断したら、問題の解決は有りません。子どもが信用できない大人ではこの問題の解決は図れません。子どもを信頼できるかどうかで決まります。

いろいろな事件を見ていると、子どもがゲームの世界と現実の世界を混同する?」  目次へ戻る
 ゲームの世界には親から見ると残酷な場面があります。親はそれを現実の世界でしてしまわないかと心配します。新聞テレビで残酷な犯罪が報道される度に、親は子どもがゲームの世界と現実とを混同してしまい、この様な残酷な犯罪を子どもが犯さないかと、より不安になります。
 ストレスが加わっていない子ども達はゲームの世界と現実の世界をしっかりと区別しています。現実の世界では現実の世界で経験したことから反応をします。ところがストレスを受け続けていて、辛い状態にある子どもはゲームの世界と現実の世界の混同を生じます。ゲームの世界で経験したことを現実の世界で行ってしまいます。場合によっては犯罪を犯すことになります。
 
ゲーム、漫画、テレビ、ビデオだけしかしません。」  目次へ戻る
 多くの親は、子どもがゲームや漫画、テレビ、ビデオなどに耽っている姿を好みません。こんな事をしていると子どもの将来が心配と思いがちです。辛い状態にある子ども達には、辛い心を癒すのにこれらの物が大変効果的です。心を十分に癒すため、子ども達は目一杯これらの物にのめり込みます。のめり込んで心が十分に癒えると、自分で納得すると、子どもはこれらから卒業をします。親がこの子どもたちの卒業を待つのは大変に辛い物です。その辛さは子どもに伝わって、子どもはますますこれらの物にいらいらしながらのめり込みます。
 子どもの立場から言うなら、子どもは安心して納得するまでゲームや漫画などに没頭できた場合、早く傷ついた心が癒えますし、早くこれらを卒業できます。同じゲームなどに没頭するのでも、安心して没頭するのと、いらいらして没頭するのとでは、その結果に大きな差ができます。


目次へ戻る