パニック障害の仕組み

◎1.環境からの刺激−−>大脳辺縁系の扁桃体(で恐怖と評価される)−−>パニック  または  環境からの刺激−−>大脳辺縁系の中隔・海馬−−>不安

◎2.長く続く不安は脳内のノルアドレナリンやセロトニンを消費して、不足状態を作る。これが鬱状態である。つまり、脳内の伝達物質の異常は不安の結果であり、不安やパニックの原因ではない。

◎3.普通の人では恐怖を生じない環境からの刺激で恐怖を生じることを、「心の傷=トラウマ」と言います。なぜ環境からの刺激で恐怖を生じるか、パニックを生じるかは、このホームページの「心の傷」を参照して下さい。

◎4.パニック障害など精神障害では、不安やパニックを起こす環境からの刺激が何かわからないことが多い。それでいて不安やパニックを起こす環境からの刺激は、私たちの周囲に日常絶えず存在している物である。

 

1.より転地療養は効果がある場合がある。しかしパニックや不安の原因は日本中どこにもある可能性があり、そのために、日本の中での転地療養は必ずしも効果があるわけではない。ただし山の中のような隔離された場所であるなら、効果がある場合が多い。

2.現在の治療の主流は薬による物である。抗不安薬は不安を減らして、苦しんでいる人を楽にするが、治しているのではない。また、動物実験から、抗不安薬は認知行動療法の効果を阻害することがわかっている。そのために一時的な不安の抑制にのみ使うべきである。また、抗不安薬は不安を軽減するために、抗不安薬で治癒すると錯覚を起こす。そのために、パニックで苦しむ人は、より強い抗不安薬を求めることになる。それとともに薬をやめることによる不安の増大は、抗不安薬に依存性を高めて、抗不安薬を離せなくなる。心理的な依存性を生じる

抗鬱剤でも、セロトニン伝達促進剤はパニックの死ぬような苦しみを和らいでくれるので、必要に応じて使うのには、それなりの意味がある。飲み続けると効果が無いように印象を受ける。そのうちでもSSRIは抗鬱作用が強く、日本でも発売を待っている人が多いが、これもパニックを押さえるのであり、パニックを起こらなくしているのではない。そのために現実に使われているアメリカでも、期待したほど効果が出ていないのが現実である。また、効果が出た例でも、その結果としてSSRIを手放すことができなくなり、SSRIをやめることで元のパニックを起こす状態に戻っている。

3.パニック障害を心の傷=トラウマと認識して対応を行っている人はほとんどいない。それは心の傷の概念が正しく理解されていないことも原因の一つである。しかし脳の構造を考える限り、パニック障害は大脳辺縁系における恐怖を生じる条件反射である。条件反射には薬は効果がない。いかにして条件反射を起こさなくするかが、対応の根幹である。

4.パニック障害の対応の根幹はいかにして条件反射を起こさなくするかである。そのことはホームページ「心の傷」の中を覗いて見て欲しい。それ心理学的に述べると行動療法と認知療法である。大人では認知療法が効果的なことは動物実験でも示されている。これらの認知療法、行動療法、を主として行い、どうにもならないときに薬を用いるのなら理解できるが、薬だけを飲んでいる限り、パニック障害の解決は棚からぼた餅が落ちてくるのを待つような物である。

 

表紙へ