不登校の子どもへの対応法
母親から相談を受ける人(カウンセラー)のためのマニュアル(学校恐怖への対応法)

$0 はじめに

多くの子どもは心が元気です。ここで述べる対応法を用いる必要がありません。子どもの中で不登校の子どものように、心が辛い子どもがいます。心が辛い子どもへの対応法を心が辛い子どもの論理又は弱者の論理と言います。それに対して普通私達が子どもに行っている対応法を心が元気な子どもの論理=強者の論理と言います。

心が元気な子どもに、心が辛い子どもの論理を当てはめても問題ありません。かえって思わぬ子育てができるはずです。それに対して心が辛い子ども達は私達が普段行う対応法で苦しんでいますから、心が元気な子どもの論理を当てはめると、ますます心が辛い子どもになってしまいます。

$1 対応法総論(心が辛い子どもに必ず当てはまる原理です)

1) 心が辛い子どもへの基本

基本1)心が辛い子どもは、その解決を母親だけに求めます。それ故に基本的に母親の対応を変えることで心が辛い子どもの問題を解決しなければなりません。
相談者を受ける人(カウンセラー)は子どもが求めない限り、子どもの前に現れたり、その存在を感じさせてはいけません。

基本2)心が辛い子どもの問題は、母親又は子どもが母親と認識する人に守られて行われる必要があります。

基本3)心が辛い子どもは母親に信頼されている必要があります。母親に信頼されていなければ、子どもの心がとても不安定になります。子どもは進んで母親を信頼しようとします。
相談を受ける人(カウンセラー)は、心が辛い子どもと母親を徹底的に信じる必要があります。子どもが荒れたり問題行動をしていても、心の病の症状を出していても、絶対に子どもに責任を、原因を求めてはいけません。子どもは被害者であって、責任はありませんし、病気でもありません。

基本4)子どもを信頼していると表現する方法
信頼1)子どもの姿を、子どもなりに意味がある姿だと理解する
信頼2)子どもの話を無条件で、相づちだけで聞き続ける。言葉のオーム返しは可能
信頼3)子どもが荒れたり問題行動をしている、心の病の症状を出しているときには、母親の共感の言葉とスキンシップを先回りをしてでもする
信頼4)子どもの要求を無条件で笑顔で100%叶える
信頼5)子どもの姿を母親の方から見ない
信頼6)母親から子どもに言わない。質問には質問の範囲で答える
信頼7)母親の笑顔
信頼8)子どものすることに母親は後追いをするだけ
子どもの要求について、100%以上を叶えると依存になります。100%以下だと欲求不満を生じます。

基本5)心が辛い子どもは母親からの信頼があるかどうかを無意識にテストをします。母親がそのテストに合格しますと、子どもは母親を信頼します。カウンセラーは子どもの荒れや問題行動も母親へのテストだと理解する必要があります。

基本6)母親と子どもとの間に信頼関係ができると、子どもは自分で自分の問題解決をしようとします。自分で解決できないところだけを、母親に解決を求めます。

基本7)母親が子どもを信頼していると言うことは、どんな姿でも(例え荒れたり、問題行動をしても、心の病の症状を出していても)、これらを子どもからのテストだと考えると同時に、子どもが生きて成長をするのに必要な姿と考え、子どもをそれで良いと考える必要があります。これをあるがままの子どもを認めると表現しておきます。つまり、子どもの姿をそのまま認めながら、母親に子どものつらさから守る対応に変わってもらう努力をしてもらいます。

基本8)大人に分からなくても、子どもの行動を含めて、全ての子どもの姿にその子どもなりの意味があります。その意味を大人の理解で理解しないことが必要です。

基本9)心が辛い子どもは基本的に父親を拒否します。それ故に父親は心が辛い子どもへの対応を全て母親に任せて、子どもに分からないところにいて、母親を支える必要があります。父親が子どもと直接関わる必要が出てくるときとは、子どもの心が元気になってからです。

基本10)子どもは成長とともに変化をしますが、外から与えられる変化を嫌います。引っ越しや転校を嫌います。

基本11)心が辛い子どもは、辛ければ辛いほど、自分がしていることや置かれている状況に固執します。変化を嫌がります。こだわりがあると表現します。

基本12)子どもは子どもの訴えを無条件で母親に聞いて欲しがります。母親は相づちだけで聞き続けて、それ以外の言葉はオーム返しが良いです。子どもは解決を母親に求めていません。

基本13)母親が母親から子どもに与えられる解決法は、子どもが荒れたり問題行動をしているとき、心の病の症状を出しているときは、傾聴、共感、スキンシップだけです。子どもが落ち着いてその子どもなりの生活をしているときには、母親は子どもを見ない子どもに言わない、母親の笑顔です。

基本14)母親は子どもの要求を100%だけ叶える必要があります。100%以上だと依存、甘えになります。100%以下だと葛藤状態、母親への不信感になります。

基本15)大人が考える解決法は大人に当てはまりますが、子どもに当てはまりません。心が元気な子どもでは大人の思いに子どもが合わせてくれます。心が辛い子どもでは大人の思いに子どもが合わせることができません。それ故に大人からの発想は心が辛い子どもをかえって苦しめることになります。大人からの発想=先回りは、心が辛い子どもにしていけません。

2) 子どもの心について

 子どもと大人と脳の構造が同じでも、その機能が異なっています。
大人は言葉になる意識の脳(前頭前野)で反応し行動をします。子どもは意識の脳で言葉を話しますが、行動は潜在意識にある情動です。大人にも子どもにも習慣があります。これは基本的に潜在意識ですが、顕在意識にすることもできます。この脳の機能を考えると、子どもの心は顕在意識、習慣、情動の三層構造になっていて、各々独立に働きます。絶えずこの三つの脳の機能を考えながら子どもの心を考えていく必要があります。子どもの本心とは情動です。情動は子どもの行動や成長、命に直結しています。

3) 子どもの本能について

 子どもの行動や成長は情動で行われます。情動の中でも特に本能が大切です。子どもには大人にない本能があります。心を考えるときには以下の三つが大切です。
本能1)子どもは母親に信頼されて成長をしようとする
本能2)環境に順応して成長をしようとする
本能3)自然にわき出すエネルギー(意欲、情動の接近系)が大きい
これらの子どもの本能に無条件で答えられるのが、母親が持つ本能、母性です。
本能4)子どもが母親と認識する人の側が子どもの心の成長に適しています。

4) 子どもの性格と情動

 子どもの性格は本能と情動と習慣から成り立っています。
乳幼児期までに子どもの本能と情動から行動した結果の経験が加味した物が子どもの性格になります。
性格1)本能は大脳辺縁系の中にあります。情動の一種です。
性格2)情動は大脳辺縁系の機能です。大人の感情に相当しますが、感情そのものではありません。
性格3)習慣は原因は何であっても、同じ行動を繰り返すことで、反射的にその行動をすることが可能になった行動です。

 情動は大脳辺縁系の機能の総称です。

 子どもの心から大人の心になったときに、それまで学習した知識からの行動が可能になります。大脳新皮質の機能です。それまでは知識は言葉として表現できますが、行動は情動からの行動になります。但し、子どもの行動は情動行動と習慣行動から成り立っています。

 刺激を受けると、同じ刺激に同じ情動を生じることは殆どありません。刺激を受けたときに既に生じている情動、刺激の強さ、刺激の時間的間隔の影響を大きく受けます。このことをまとめてみます。

情動1)接近系の刺激と回避系の刺激が同時に加わったとき、お互いに消し合って、より強い方の刺激に対して、そのより強い分だけ反応をします。
情動2)繰り返す接近系の刺激には慣れを生じます。同じ刺激でもその効果が弱まってきます。
情動3)繰り返す回避系の刺激には相乗効果を生じます。弱い回避系の刺激を繰り返すことで、その回避系の効果がとても強くなっていきます。
情動4)先行する回避系の刺激の後の接近系の刺激の効果は減少をします。後続する接近系の刺激が先行する回避系の刺激の効果より大きい場合には、その効果の大きい分だけ接近系刺激の効果が出ます。接近系の刺激がその時存在する回避系の刺激の効果より小さい場合には、その回避系の効果の大きい分だけ回避系刺激の効果が出ます。それは最初の回避系の効果より弱まっています。
 後続する接近系の刺激があるまでは、回避系の刺激として機能をしますから、回避行動を取ることになります。その回避行動の影響が残ります。
情動5)先行する接近系の刺激の後の回避系の刺激は、先行する接近系の効果が減少をします。回避系の刺激がその時存在する接近系の刺激の効果より大きい場合には、その効果の大きい分だけ回避系刺激の効果が出ます。
 後続する回避系の刺激があるまでは、接近系の刺激として機能をしますから、接近行動を取ることになります。その接近行動の影響が残ります。

刺激を受けると大人ではその刺激に対して最初に習慣行動を生じ、遅れて意識行動を行います。情動行動は意識で押さえつけられていて、表面に出てきませんが、情動反応は生じています。その際の情動反応を感じ取ってその人の知識から感情として言葉で表現します。

子どもでは刺激を受けると習慣行動も起こしますが、その程度は弱いです。意識行動はないと考えて間違いないです。子どもでは情動行動が中心になっています。一見意識行動のように見えても、現実は報償を求めたり、恐怖を回避する情動行動です。

大人では克服が難しい何かあっても、その人なりに知識を働かして、その難しい何かを乗りこえることができます。しかし子どもではそれができません。知識から行動ができないからです。子どもでは克服できない難しいことに出会うと、それは回避系の刺激として作用をします。

心が元気な子どもでは、自分の楽しいことで、母親からの信頼関係で、トライアンドエラーを繰り返すことで、克服できる場合もあります。つまり出会った回避系より大きな接近系を得て当座の回避系を解消して、新たに挑戦ができるようになります。しかしその回避系を打ち消すほどの接近系が得られないと、回避系の相乗効果を生じて、子どもは段々心の元気を失っていきます。

情動6)心が辛い子どもでは現存する回避系に新たに出会った回避系との相乗効果を生じ、大人から見たら何でも無いようなことに、とても強い回避行動を取るようになります。

情動7)心が元気だった子どもが繰り返す回避系に出会い、その回避系を接近系で解消できないとき、初めのうち子どもはよい子を演じて、繰り返す回避系に特別な反応を示さないばかりか、あたかもその回避系を克服しているような行動を示しながら、情動では回避系の相乗効果を繰り返し生じています。そしてよい子を演じられなくなったとき、子どもは突然荒れたり問題行動を起こしたり、心の病の症状を出す様になります。子どもを表面的に見ている大人にはとても理解できないことになります。

情動8)大人と違って子どもには回避系の刺激を原則として与えない方が良いです。
子どもに回避系の刺激を与えたときには、それを打ち消すほどの接近系を与える必要があります。
普段から接近系の刺激を与えておくと、回避系の刺激があっても回避系の刺激の効果が無くなります。
接近系の刺激には慣れがありますから、接近系の刺激を与え続けていても接近系として機能をしないか、機能が弱い場合があります。唯一接近系として慣れがないのは、母親とのスキンシップと信頼関係(共感)です。
本能としての回避系は、痛み、強すぎる五感、空腹、口渇、存在の否定です。

情動9)新奇刺激は回避系の刺激です。それ故に、不登校などの心が辛い子どもは変化を嫌います。転校や引っ越しは、一般に心が辛い子どもをもっと辛くします。

情動10)子どもは親兄弟にとても優しいです。親兄弟に子どもが優しくない場合には、子どもがその親兄弟から嫌悪刺激(不登校の子どもなら登校刺激)を受けていると考えて間違いありません。心が元気なら、他人にも優しいです。もし子どもが他人にも優しくないなら、その子どもはその他人から嫌悪刺激を受けていると考えて間違いありません。

5) 子どもの評価
子どもの心に接近系が働いているとき、子どもの心が元気な状態です。多くの子どもはこの状態です。
子どもの心に回避系が働いているとき、子どもの心が辛い状態です。子どもの心に嫌悪刺激が加わったときの子どもです。
心が辛い子どもとは、毎日のように嫌悪刺激が加わっているけれど、子どもはその嫌悪刺激から逃げられない状態の子どもです。

子どもの姿や言葉、学業成績から子どもは評価されますが、心の評価は子どもの心が持つエネルギー(情動の接近系の強さ)から判断されます。心のエネルギーがあれば、子どもが不足と感じたときに、その不足を急激に取り戻すことができます。

エネルギーには物理的なエネルギーと心のエネルギーとがあります。物理的なエネルギーとは体を動かすことによって示すエネルギーです。心のエネルギーとは情動の接近系の大きさで、同じではありません。

接近系の評価 よい子を演じて居ないと言うことを前提に
「生き生きした言葉+生き生きとした表情+生き生きとした無意識の行動」から総合的に判断されます。

回避系の評価
「逃げる<よい子を演じる<荒れる、問題行動をする<心の病の症状を出す」の、右に行くほど、子どもの心は辛い状態にあります。

6) 子どもの辛い刺激(嫌悪刺激)への反応の仕方(Four Fs)
嫌悪1)逃げる(Flee)
嫌悪2)逃げられないときにはよい子を演じる(Fair)
嫌悪3)よい子を演じきれないときには荒れたり、問題行動をする(fight)
嫌悪4)荒れたり、問題行動ができないときには、心の病の症状を出す。(freeze)

よい子を演じるとは、相手の希望をする行動をすることで、それ以上の辛さが加えられるのを避けることです。子どもは基本的によい子ですが、辛い状態に追いやられると、無意識に、いつも以上によい子を演じて、その辛さから逃げようとします。

素直に反応するとは、よい子を演じるの逆の反応の仕方です。心が辛い子どもがよい子を演じないと、荒れたり問題行動をするようになります。子どもが荒れたり問題行動をする方が、子どもに何か起こっていることに親が気づきやすいです。子どもを守ろうとする親は子どもを守ろうと機能をし出しますが、親によっては子どもへの対応を放棄する場合もあります。

子どもが荒れるとき、子どもが問題行動をするとき、子どもに問題があると考えるのが常識ですが、それは子どもを知らない大人の判断です。子どもは加えられた辛さを回避するために荒れたり、問題行動をします。

子どもが心の病の症状を出すと、医療では精神疾患として投薬治療をされます。これは医療の間違いです。子どもは回避できない辛さから、心の病の症状を出しています。

子どもは刺激に素直に反応をします。子どもが反応をしている物が、刺激の根源です。大人のような原因を分析した結果に基づいた、意識的な行動はありません。

7) 子どもの行動
行動1)習慣行動
行動2)情動行動

習慣行動とは、生まれ落ちてからその時までに行ってきた行動の積み重ね。無意識で行動をしますが、情動を伴いません。
情動行動とは生じた情動からの行動です。接近系が働いているときには接近行動、回避系が働いているときには回避行動になります。
その例としてオペランド条件付けがあります。これは遅延条件反射とも言われますが、行動に情動が伴うようになります。それ故に行動条件反射と理解した方がわかりやすいです。

子どもではこの習慣行動と情動行動だけを考えておけば良いですが、大人の心になると、意識行動が機能をし出します。知識や言葉からの行動が可能になります。

子どもでも言葉通りに行動する子どもが居ますが、それも意識行動ではなくて、情動行動です。主として母親からの報償を求めた行動になっています。

8) 子どもへの躾け(行動を習慣化する)
躾け1)喜びの躾け(接近系の情動行動反射)
躾け2)叱ることでの躾け(回避系の情動行動反射)

喜びの躾とは、接近系の行動条件反射を学ばせることです。接近系の情動行動反射は繰り返されることで、行動に伴う接近系の情動は消失していき、単なる習慣行動に変わっていきます。
叱ることでの躾は、回避系の行動条件反射を学ばせることで有り、6)の嫌悪刺激への反応の仕方を利用した物です。子どもはよい子を演じてしまうので、その場限りの躾になります。繰り返すことで辛さを生じる条件反射を学習してしまいます。

9) 感情とは
 大人が感じる感情とは体に表現された情動を感じ取って、過去の経験から感情として言葉に表現しています。脳が単独で感情を作り出すのではありません。
子どもでも体に表現された情動を感じ取ることはできますが、過去の経験が少ないために、言葉で表現することがとても下手です。

10) 意識とは
 意識は少なくとも知識や言葉にすることができます。少なくとも知識や言葉に基づいた前頭前野の機能です。皮質反射(習慣)との違いは、知識や言葉により行動が可能になりますし、情動を調節することができます。あたらな知識を作ることができます。子どもはこの機能がないか、極めて下手です。それが大人の心になったときに、急激に意識行動が可能になります。

11) 心が辛い子どもの論理
 心が辛い人や子どもは、情動が強く働いています。情動が強く働いているために、意識的な、理性的な、知識からの行動ができません。人間から意識的な行動がなくなると、動物の心と同じになります。それまで身につけた習慣と情動行動だけになります。
 情動行動しかできない人に意識的な行動を求めてもできませんから、それはその人の否定として機能をして、その人に葛藤状態を生じ、ますますその人を苦しくします。常識の多くは理性からの行動です。心が辛い人は常識からの行動ができません。常識を要求されると葛藤状態になり、回避行動をとるようになります。

$2 不登校総論(不登校に当てはまる原理です)

12) 不登校の心の仕組み
不登校1)子どもの性格からの不登校
不登校2)学校に反応をするトラウマ=fecorからの不登校(学校恐怖)

性格からの不登校の例は少数です。入学時から登校ができません。その子どもを無理をして学校に行かせ続けると、学校に反応をするトラウマ=fecorを学習してしまいます。
 殆ど全ての不登校の子どもは学校に反応をするトラウマ=fecorを持っています。このトラウマ=fecorを反応をさせる物を登校刺激と呼びます。登校刺激は学校、先生、勉強、友だちが殆ど全てです。この四つから不登校の子どもを守れ(子どもがこれらを思い出すことも含めて)ば、子どもは普通の子どもとして成長が可能です。

13) トラウマ=fecorへの対応法
 トラウマ=fecorは情動記憶です。反応をすればするほど強化されましし、反応をしないでおくと弱まっていき、消失します。不登校問題の解決はトラウマ=fecorを反応をさせない(登校刺激をなくする)ようにして、時間の経過を待ちます。
 トラウマ=fecorは情動の回避系の反応です。情動の接近系が働いているときには、トラウマ=fecorは働きにくくなります。それ故に不登校の子どもは何でも良いですから楽しいことに没頭できたら、解決が早くなります。不登校の子どもが享楽的な楽しみに没頭するのに、このような意味があります。子どもの心が元気になってきたら、子どもは子どもが持つ本能から、からな図この享楽的な楽しみを止めて次の段階に進みます。

14) 登校刺激
 不登校の子どもの心には学校に反応をするトラウマ=fecorがあります。その子どもが学校を意識すると、fecorが反応をして、体中に辛い症状を出します。動けなくなります。
 不登校の子どもに学校を意識させる物を登校刺激と言います。それは学校、先生、勉強、友だち、それとそれらに関連する物です。

14) トラウマ=fecorの概念
 パブロフの条件反射は情動の接近系の条件反射です。情動の回避系の条件反射を辛さを生じる条件反射(fecor)と呼ぶことにします。fecorを学習する際に学習した条件刺激を辛さを生じる条件刺激(fecos)と呼ぶことにします。fecosをたびたび経験するとfecorが反応を繰り返すことで、fecosの汎化を起こします。身の回りの物がfecosになり、fecorが反応をする様になります。このようになると、原因がないのに荒れたり、問題行動を起こしたり、心の病の症状を出すと、一般の人は判断するようになります。不登校の場合にはfecosは学校や学校を連想させる物です。
 このように一般の人では何でも無い物に、又は楽しい物に、その人のfecorが反応をして辛くなる子とをトラウマと言うことにします。ただ、一般の人の言うトラウマと違いますので、トラウマ=fecorと表現することにします。

15) 心が辛い子ども
 心が辛い子どもとはトラウマ=fecorを持っている子どもです。日常の何かがfecosになっているので、その日常の何かでfecorが反応をして辛くなっています。原因がないのに辛くなっていると一般の人は考えますから、心が辛い子どもと表現します。不登校の場合には登校刺激を受けている子どもです。又不登校の結果生じた自己否定から、心が辛くなっています。
 不登校で心が辛い子どもへの解決法は、fecosから子どもを守ってあげると、子どもは心が辛くなりません。その本能から普通の子どもとして成長をしていきます。自己否定のある子どもには、母親による自己肯定感を与える必要があります。
 心が辛くない子どもは心が元気な子です。fecosがないか、理解可能なfecosを持っているだけです。大人が持つ常識が当てはまります(心が元気な子どもの論理)。例え子どもの見かけが元気でなくても、心としては元気な子どもに入ります。
 心が辛い子どもへの対応法(心が辛い子どもの論理)は、多くの場合大人の常識と異なっています。大人の常識と逆な場合があります。心が元気な子どもの論理でも、子どもに大人の対応が必ずしも当てはまっているのではありません。子どもの方でよい子を演じて大人に合わせてくれているだけです。よい子を演じる辛さが子どものする楽しみで解消ができているだけなのです。

16) 葛藤
 大人が子どもに〜をしなければならないという知識を与えたとき、子どもは特に不登校の子どもはその知識に基づいた行動ができません。その結果、子どもは葛藤状態になって、とても辛い状態になってしまいます。不登校の子どもに登校刺激を与えていなくても、この葛藤からとても辛い状態になって、不登校の問題を解決できなくなります。次の自己否定の原因になってしまいます。
 対応法は〜をしなければならないという思いを取り除いてあげることです。ありのままの子どもをそれで良いと認めてあげることです。不登校の子どもが学校に行きたいと言っても実際には行けないとき、親は子どもに学校に行かなくて良いと言ってあげると、子どもが学校に行かなくてはならないと言う思いが弱まって、葛藤状態が弱くなります。

17) 学校に行きたくなかったら行かなくて良い
 一般に心が辛い子どもに、条件を付けて何かをしなくて良いというとき、子どもは条件に基づいた行動ができません。その結果条件を付けることはその何かをしなさいという意味になります。ところが条件を付けて何かをしなさいという場合、その何かをしなさいという意味になります。つまり子どもは条件を付けて何かを言われたら、例えそれがしなくても良いと言う意味であっても、その何かをしなさいという意味で反応をします。
特に学校に関しては、子どもは学校に行かないと言う選択肢を持っていませんから、はっきりと学校に行くなと言わない限り、学校に行きなさいと言う意味になります。はっきりと学校に行くなと言う必要があります。

18) 自己否定
 不登校の原因ではありませんが、不登校の結果子どもが自己否定を生じて、不登校問題の解決を難しくする場合があります。学校に行けない子どもを学校に行かす対応をすることで生じる葛藤から、自己否定に移行します。自己否定はとても強い本能からの回避系です。解決が難しくて、子どもの荒れや問題行動、心の病の症状を出す原因となります。
 対応法は母親による共感とスキンシップ。母親による子どものありのままを認める対応です。
19) 母親の対応法
母親の対応法1)母親は子どもの訴えを無条件で聞き続ける必要があります。母親が発する言葉は相づちと共感の言葉だけです。説明や理由を言ってはいけません。子どもが納得するまで聞き続けてください。

母親の対応法2)子どもが荒れたり、問題行動をしたり、心の病の症状を出しているときには、母親は積極的に子どもの辛さに共感してスキンシップをするだけで良いです。子どもの要求だけに応えて、「どのようなあなたでも、あなたが大好きよ」という言葉以外のことを言ったりしない方が良いです。
母親の対応法3)子どもが落ち着いて自分の楽しみに耽っているときには、母親は子どもの要求を100%だけ叶える、子どもを見ない子どもに言わない、母親の笑顔です。

20) 母親の前では
 母親が登校刺激を与えない限り、子どもは母親の前では素直に行動をします。よい子を演じることはありません。母親の前の子どもの姿が子ども本来の姿です。母親はその姿を素直に判断すべきです。但し、子どもが学校に行きたいとか勉強をしたいと言ったときには、よい子を演じている可能性を考える必要があります。
 子どもが元気にしている時には、子どもは登校刺激を受けないでいる姿です。学校に反応をするトラウマ=fecorが機能をしていませんから、不登校問題の解決に向かっている姿です。学校に行っていませんが、それ以外は普通の子どもと同じです。
 子どもが荒れたり問題行動をしたり、心の病の症状を出しているとき、子どもに登校刺激が加わって居ます。又不登校が長い子どもや年長の子どもでは、自己否定の状態になっています。つまり、子どもの荒れや問題行動、心の病の症状を解決しようとするなら、直接その荒れや問題行動、心の病の症状をなくするための対応をするのではなくて、子どもに加わっている登校刺激か子どもの自己否定を解決すれば良いです。

21) 母親だけが持つ特別な能力
 子どもは母親にだけ解決を求めます。それは子どもが母親の母性を求めています。母親は自分の子どもに対して、子どもを守り育てようとする能力を持っています。それが共感とスキンシップです。この二つの能力は子どもに取って最強の接近系です。この二つだけで子どもの心の問題が解決できると言って過言ではありません。
子どもは母親からの信頼を求めます。母親から信頼されると、子どもは母親を信頼して、その子どもなりの将来を求めて動きます。子どもとの信頼関係を作る物は、子どもの要求を100%叶える、子どもを見ない子どもに言わない、母親の笑顔です。

22) 先回りをした対応
 大人の心では子どもの心に沿った対応は大変に難しいです。大人が考えた子どもへの対応は、子どもの心に沿っていないことが多いです。それでも心が元気な子どもはよい子を演じてくれますが、心が辛い子どもでは大人の先回りをされた行動に回避行動を取ってしまいます。子どもをますます辛くしてしまいます。
 不登校の子どもには、母親が子どもの辛さから守る対応以外の先回りをした対応はしてはいけません。但し母親だけは、子どもを辛さから守る対応を先回りをしてでも行う必要があります。先回りをして守って良い物は、学校、先生、勉強、友だちです。これらは学校に反応をするトラウマ=fecorを反応させるからです。
 子どもの心を元気にする(接近系)には、素直な子どもでいさせてあげる必要があります。素直な子どもとは、子どもの接近系=子どもの内から湧いてくる物だけで生活をしている子どもです。

23) 薬の使用
 薬は脳の機能を抑えることで症状の出現を軽減します。しかし薬は症状を抑えるだけでなく、脳の学習も押さえてしまいます。つまり心の成長を抑えてしまいます。大人ではすでに心が完成していますから、それ以上の成長を求めなくても社会生活は可能です。子どもは心の成長が必要です。薬はその心の成長を抑えてしまいますから、原則として子どもに投薬してはいけません。
 一時的に薬を投与するとの考え方も可能ですが、薬を投与することで症状が改善すると、その状態を維持するために辛さの原因を解決しようとしないで薬に依存をするようになります。薬をやめられなくなります。

24) 医療について
 心が辛い子どもには、医療は基本的に子どもの否定になっています。子どもはその本能から今の自分を認めたいし親にも認めてもらうことを希望しています。子どもを医療に掛けるなら、子どもは今の自分を認められていないと反応をします。

25) 不登校の原因と対応法
 元来接近系の学校が回避系になる原因として二つあげられます。
不登校原因1)子どもの脳の神経回路で、学校が接近系になるように未だ十分に成長をしていない状態で学校に行かされている。このような子どもは数が少ないと思います。このような原因だと考えられても、保育園時代、幼稚園時代に、保育園、幼稚園に拒否反応を学習していた可能性の方が高いと、考えられます。またこのような子どもは入学当初から学校を回避しようとし始めます。対応法の基本は、学校に行かさないで、子どもの心の成長を待つだけで解決します。
不登校原因2)殆ど全ての不登校と表現される子どもは、学校生活をすることで学校に反応をするトラウマ=fecorを学習して、学校が回避系になっています。今の精神医学で言うPTSDに相当する経験をすればわかりやすいのですが、それが無くても不登校状態になった子どもはPTSDと似た経験をし続けていたはずです。
つまり学校で子どもが繰り返し回避系の刺激を受け続けたために、回避系の刺激の相乗効果を起こして、他の人から見たら些細な回避系の刺激でその子どもは死ぬような思いをするようになっていることです。
 大人では回避系の刺激があっても、知識でそれを解決できます。子どもはそれができません。できないとき周囲の大人は子どもにその回避系の刺激を子ども自身で解決することを求めます。その大人の要求自体が子どもに取って回避系になりますから、子どもはその大人によい子を演じて、あたかもその回避系を自分で解決できたかのように振る舞います。しかし情動では回避系の刺激の相乗効果を生じて、子どもはその見かけと異なってとても辛い状態になっています。
 基本的に子どもに回避系の刺激を与えるべきではありません。しかし回避系の刺激が加わるのを回避できないときには、回避系の刺激の後にそれを打ち消すだけの接近系を与える必要があります。現在の学校のように頻回に回避系の刺激が加わる所にいる子どもには予め大きな接近系の刺激を与えておくのが良いです。その意味で今の子ども達には母親の存在がとても大きいです。
 しかし現在の一番大きな原因は、子ども達の見た目と異なって、子ども達が学校内での嫌悪刺激の連続に苦しんでいて、その辛さを学校外での接近系で解消できない状況にあることです。
 対応法としては、fecorが反応をする学校を忘れさせて時間の経過を待つことで、fecorは消失していきます。又、情動の接近系が強いと、回避系のfecorは反応をしなくなり、fecorの消失を促進させます。

26) 不登校の子どもの過ごし方
 不登校の子どもは学校を忘れて生活をする必要があります。学校を忘れて生活をしていると、fecorが消失して、又学校に行かれるようになります。子どもが楽しいことに夢中になっていると、より早くfecorは消えます。但しfecorが消失したあと子どもが必ず学校に戻るかどうかの問題は子ども次第です。

27) 不登校の子どもについて、その心の概念的な段階
不登校段階0)多くの時間を自分の部屋の中で、家の中で、荒れている。心の病の症状を出している
不登校段階0)多くの時間を自分の部屋で、家の中で、荒れている
不登校段階1)多くの時間を自分の部屋の中で一人で荒れないで過ごしている
不登校段階2)多くの時間を家の中で荒れないで過ごしている
不登校段階3)多くの時間を家の中で生活しているが時々家の外と関わる
不登校段階4)家の外での生活の時間が長い。
不登校段階5)子ども社会、大人社会に属する時間が出てくる
不登校段階6)社会常識的な社会との関わりができている
荒れているには、暴力的に荒れたり、問題行動をしたり、心の病の症状を出していることを含みます。
家の外で問題行動をしているのは不登校段階0に属します。
不登校段階3)の中に自分の部屋に登校刺激があるから部屋から出ている場合があります。
不登校段階5)と6)には、よい子を演じて社会と関わっている子どもがいます。これらは本来なら不登校段階4)に属します。

28) 子どもが不登校を止めて学校に行くという場合
 不登校の子どもが学校に行くという場合、子どもの心のエネルギーから本当に行けるかどうかの判断ができます。
再登校1)心のエネルギーが低いとき、子どもがよい子を演じて無理をしていると考えられます。
再登校2)心のエネルギーが高まると、子どもの持っている本能から、学校に行こうとしています。
この二つの区別ができないときには、子どもを学校に行かさない対応を取ると良いです。心のエネルギーが低いと、学校に行こうとしなくなりますし、心のエネルギーが高いと、この対応を押し切って、子どもは学校に行ってしまいます。

$3 不登校の子ども(各論)

1) 学校への行き渋り
 子どもの本能からいうと学校は接近系です。子どもがfecorを学習することで、学校への回避系が接近系と同等となったとき、子どもの様子で子どもは学校に行ったりいかなかったりします。
学校へ行く力=子どもの本能と習慣+子どもが親が学校に押すーFecor
この学校へ行く力がほぼ拮抗しているとき、子どもが学校に押す力の変化で、子どもは学校に行ったりいかなかったりします。五月雨登校になります。
すでにFecorを学習していても、
子どもの本能と習慣+子どもが親が学校に押す>Fecor
なら、特に子どもがよい子を演じて子ども自身で自分を学校に押している場合、親は子どもの不登校に気づかない状態です。よい子を演じきれなくなったとき、学校への行き渋りを生じます。

2) 学校へ行けない、朝起きてこない、学校に生かそうとすると荒れる
 学校への回避系が接近系より大きくなった場合、大人が子どもを学校に押しても、子どもは学校に行かなくなります。学校へ行く力の式で
子どもの本能と習慣+子どもが親が学校に押す<<Fecor
 朝起きてこないのは、目覚めと同時にfecorが強く働いているためです。
 学校に生かそうとすると荒れるのは、fecorが働いて強い回避行動が出ているためです。

3) ゲームに没頭、ゲーム依存症
 子どもがゲームなどの享楽的な楽しみに没頭する理由です。
ゲーム没頭1)没頭することで登校刺激を忘れる
ゲーム没頭2)ゲームの接近系でfecorを弱める
ゲーム没頭3)ゲームの中で子どもは学習を始めています。
ゲーム没頭4)ゲームに納得すれば、他の楽しみに移行します
 ゲーム依存症は大人のゲーム依存についての話です。子どもにはゲーム依存症はありません。一見ゲーム依存のように見える子どもは、自分の心の辛さを軽減するためにゲームに没頭しています。

4) 引きこもり
 不登校からの引きこもりは、不登校の解決にとても大切です。登校刺激を回避するために子どもが引きこもるのは、不登校問題の解決を早めます。子どもの心が元気になったときには、子どもは必ず自分から引きこもりを止めて、社会活動を開始します。引きこもりを止めさせるのではなくて、引きこもりをしなくて良い環境を作る必要があります。
 引きこもりの原因には登校刺激と自己否定があります。年少の子どもでは主として登校刺激から、大人年齢の子どもでは自己否定から、その中間の子どもでは登校刺激と自己否定から引きこもります。
 引きこもりの段階について、不登校の段階を参照してください。登校刺激と自己否定に置き換えることで同じように表現できます。大人の引きこもりと同じように考えることはできません。

5) 不眠
 不登校の子どもには登校刺激が加わって居ることが多いです。その結果交感神経が緊張状態になっていて寝付けません。夜起きて明け方に眠くなり寝るという形になります。
 大人と違って、子どもの不眠に基本的に睡眠薬を使わないでください。眠られるまで夜起きていて良いことを子どもに伝え続けてください。

6) 昼夜逆転
 心が辛い子どもが元気になるために、必ず経なければならない姿なようです。例外もないわけではありませんが、ほぼ間違いなく昼夜逆転を経てから子どもは元気に動き出します。昼夜逆転を積極的に評価する必要があります。

7) よい子を演じる
心が元気な子どもがよい子を演じる場合には、それは子どもが大人から報償を得ようとする場合です。
心が辛い子どもがよい子を演じるのは、それは辛さを回避する行動です。見た目は心が元気なよい子を演じますが、その心はとても辛い状態になっていて、どこかでその辛さを解消する必要があります。

8) 家の中で暴れる
母親の対応が悪いと言う意味です。家族の対応が悪いと言う意味です。子どもの怒りをぶつける物や人がその子どもを苦しめています。

9) 盗み、万引き、自転車泥棒
心が辛い子どもがよい子を演じて居るとき、その子どもが陰で行う行動です。繰り返すと習慣化しますから、何が何でも避ける必要があります。

10) 起立性調節障害
 不登校の子どもに登校刺激が加わって居ると、自律神経が緊張状態になります。この自律新家の症状として起立性調節障害の症状があります。病的ですが病気ではありません。

11) 発達障害
 心が辛い子どもがその辛さからその年齢並みのことができなくなっている状態です。
発達障害1)心が辛くて年齢相応の行動がとれない場合
発達障害2)心の発達が他の同年齢の子どもに比べて遅れている場合
発達障害3)心が辛くて今までできていたことができなくなった場合
このような子どもには遅れている分だけ何か突出したものがある場合が多いように思えます。

12) 心の病の症状(鬱病、統合失調症)
 心が辛くてその辛さからの回避行動を取ろうとしても十分に取れないとき、心の病の症状を出します。精神症状を出して、病的ですが病気ではありません。

13) 自傷行為(リストカット、頭を壁にぶつける)自殺の道具を用意する
 心が辛くてその辛さからの回避行動を取ろうとしても十分に取れないとき、自己否定を生じたり、その自己否定をこれらの行動で示します。自殺をすると言う意味ではありません。生きたいけれど生きて居ると感じられないので、痛みを感じることで生きて居ることを確認する姿です。但し事故から死に至る場合もあります。
 子どもが言う「死にたい」という言葉は、本当に死にたいと言っているのではありません。辛さにも色々な段階がありますが、その内で一番辛いと言う意味です。

14) 過食、寡食
 回避できない嫌悪刺激(ストレス刺激)でとても辛く(ストレス状態に)なっているとき、これらの行動に出る子どもがいます。逆に過食、寡食がある子どもは回避できない強い嫌悪刺激に晒されていると考えられます。


16)部屋を真っ暗にする。一年中薄着で過ごす、着替えない、ぼろぼろの服で過ごす


16) 虐め、虐められ
よい子を演じている子どもがその辛さを解消するために人で遊ぶ行動が虐めです。虐められる子どもも心に辛さを抱えていて、虐めから逃げるためのエネルギーを持っていない状態の子どもです。

16) 学級崩壊
 学校内で辛くなった子どもは、授業中に問題行動をします。それを教師が止めようとすると、ますます問題行動を強めます。学級崩壊の原因になっている子どもは、学校で辛くなり、逃げ場がない子どもです。学校で辛くなった子どもで家に逃げられる子どもは不登校になります。家に逃げられない子どもは学級崩壊を起こしたり、学校外で問題行動をします。

17) 居場所
子どもが長い時間を過ごす場所のことを言います。不登校の子どもでは学校以外の場所で子どもが居続ける場所を言います。不登校の子どもに登校刺激があってはならない場所ですが、大人も子どもも気づかない登校刺激がある場合もあります。
 心が辛い子どもに取って、最も安全な場所(登校刺激がない)は母親の周囲ですが、その母親が登校刺激を子共に与える場合、子どもは母親を攻撃したり母親の側から逃げ出したりします。その逆も成り立ちます。
 フリースクールと言っても内容はいろいろです。そこに学校の要素があったら不登校の子どもには居場所になりません。既にfecorが消えていてこれから学校に戻ろうとする子どもには、その手始めとしてのフリースクールを選択するのは問題ありません。

18)兄弟姉妹間の問題
 兄弟姉妹間の問題の解決は、基本的に子どもたちの間に任せてあげると良いです。親にはそのトラブルの後でおのおのの子どもに個別に共感とスキンシップだけで対応をしてもらうのが良いです。兄弟姉妹間の問題を親の常識で解決しようとすると、後で大きな問題を生じます。

19)友だちを欲しがる
学校の友だちは楽しさと同時に登校刺激を持っています。可能な限り避けた方が良いです。大人やずっと幼い子どもと遊ぶのは子どもを元気にします。母親が母親を止めて子どもの友だちとなると、それは子どもをもっと元気にします。

19)辛さの上下
 子どもが辛さを表現しているときには、常識からでは子どもに何か変化が起こったと考えて、子どもの変化に対する対処法を考えます。不登校の子どもの辛さの変化は主として登校刺激が加わっているからです。年長の子どもでは自己否定を生じる刺激が加わっているからです。子どもへの対応を考えると、それは子どもの自己否定につながります。子どもに加わっている登校刺激をなくする、子どもに加わっている自己否定を起こすものを取り除いて、自己肯定感を高める(ありのままの子どもを認める)対応が必要です。
 心が辛い子どもに「大丈夫よ」とか「心配いらないよ」とかの言葉は、かえって自己否定を高めます。「頑張れ」は最悪の言葉になります。

20)学校との関わり
学校1)友達が来る。学校からの連絡。教師が来る
これらは登校刺激になります。必ず避けなければなりません。
ただし、友達は遊びという楽しさを持ってきます。楽しさが登校刺激以上だと子どもはども立ちと遊ぶことができます。それでも登校刺激を持っていますから、楽しさの意味外が大きく損なわれています。一人で遊んだ方が効率的です。

学校2)生存確認
学校が登校刺激をするためではないが、子どもが家で虐待を受けていないかどうか、子どもの安全を確認する必要があると言って、子どもに面会を求めることがあります。面会を許可しないと児童相談所に訴えるという場合があります。

学校3)児童相談所
児童相談所は訴えられたら法的根拠で子どもの安全を確認する義務があり、親の拒否を認めてくれません。対抗策は医者の診断書しかないようです。

学校4)学校が不登校を解決できない
 子どもが学校に登校しているなら、学校は学校が子どもの心に沿って変化しさえすれば(現実に一人の子どものために教育の方針を変えることは不可能だと思います)、学校も不登校の子どもを守ることができます。しかし子どもが一端不登校になったとき、子どもを学校と関わらせようとすることだけで、子どもは学校への拒否反応を強めていきます。学校がどんなに子どもの心に沿って変わったとしても(実際に不可能ですが)、子どもの学校への拒否反応が優先してしまいます。

21)病院との関わり
 子どもが出すいろいろな病的症状から病気ではないかと、親が心配してしまうことは仕方がないです。 体の病気で出す症状と心が辛くて出す症状と、医者でもその区別をつけられない場合があります。医者の指示に従わざるを得ないでしょう。その治療経過の中で、体の病気にしてはおかしいと感じられるようでしたら、治療をやめてみるのも一つの方法です。子どもには心の病はないからです。自律神経に関する症状もほとんど全てが心の症状の一部です。

22)病気に逃げる
 不登校の子どもはなぜ自分が辛くなるのか理解できません。子どもが病気なら周りから学校に行かないことを責められませんし、自分が辛いのもわかります。そこで子どもは無意識に病気に逃げる場合があります。時には目が見えない、耳が聞こえないなどの症状を訴えることがあります。

23) 薬を減らすには
 子どもの心の状態は薬で維持をされています。現状を維持しながら薬を減らすには、回避系を減らす必要がありますが、接近系を増やす必要もあります。

24)サンドバッグ
 不登校などの心が辛い子どもは、母親の対応が悪いと母親を言葉や暴力で責めます。母親は子どもからの責めを受けないと、子どもはもっと母親を責めます。子どもからの攻めをなくするには子どもからの攻めを受けながら、母親の子どもへの対応の悪さを、子どもの心に沿った対応に変えていく必要があります。母親が子どもの心に沿って変わったと子どもが判断するまで、この子どもからの攻めは続きます。母親はその子どもからの責めを、ボクシングのサンドバッグのように受け続ける必要があります。しかしその責めが母親の存在に危険をもたらすと判断した場合には、一時的にその責めから逃げてもよいです。

25)奴隷
 不登校などの心が辛い子どもは、母親の対応が悪いと母親を奴隷のように扱います。その扱いに母親が拒否をすると、子どもはますますあれたり、問題行動を強めます。子どもが母親を奴隷のように扱っても、それを受け入れて、子どもの心に沿った対応をするならば、子どもは母親を奴隷のように扱うのをやめます。

26)子どもからの無理難題=テスト
 不登校などの心が辛い子どもは母親が変化をしてきて、子どもの心に沿った対応をし始めたとき、本当に信頼できるかどうかのテストを無意識にすることが多いです。母親に無理難題を投げかけます。その無理難題に母親が無理だと反応をしたら、母親は子どもからのテストに合格しません。子どもはまだ母親が子どもを信頼していないと反応をします。その無理難題に不可能でも取り組む母親を子どもが認識したなら、子どもはその無理難題を取り下げて、母親を無条件で信頼し始めす。
 子どもが母親をサンドバッグのように、また奴隷のように扱うのもテストだと考えるとわかりやすいと思います。

27)子どもの言葉の死にたい
 これは子どもが自殺をするという意味ではありません。つらさにもいろいろな程度がありますが、そのつらさの程度のうちで一番辛いという意味です。
 この言葉を精神科医の前で言うと、自殺の恐れがあるとして強制入院になることが多いようです。

28)子どもの自殺
 言葉で自殺を言う子どもは自殺をしない傾向があります。子どもの自殺は子どもが安心していられる居場所がない子どもに多いです。このような子どもは自殺を言葉にすることは少ないです。自殺をするともいわないで発作的に自殺をしています。
遺書も見つかりやすいところにおいている子どもは自殺をしない傾向があります。見つからないところに置いておく子どもは自殺をする可能性があります。


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